生前対策が必要となる人
生前対策は、どんな人にも必要だといっても過言ではありません。
お子様や配偶者様などご家族が相続人としていらっしゃる方は、既に、どの資産をどなたに引き継がせるか、相続税をどのように軽減していくかに悩まれているかもしれません。また、相続人となる予定の方がいらっしゃらない場合でも、万が一の事態に備えてご自宅の処分や遺品の整理が確実に行われるよう、きちんと整備をしておくことが安心に繋がります。
しかしながら、不慮の事故や認知症等の疾病によって、ご自身の財産についても判断が難しくなる場合もないわけではありません。生前対策とは、ご自身や大切なご家族の世を去った後の対策ではなく、どのような形で世を去るかの対策であるといってもよいでしょう。
生前対策の具体的な方法
相続人の方にどのように資産を引き継いでいくかを考えるうえでの柱は、遺言、家族信託、生前贈与の3つがあります。
①遺言
最も簡便な対策ですが、相続人の遺留分を侵害しないように配慮する必要があります。また、「付言」(ふげん)にどのような記載をするかという問題もあります。付言は直接的な法的効力を生むものではありませんが、残されるご家族への想いをしっかりと残すことで、相続人の方にとっても納得しやすい遺言になるものと期待できます。弊所においては、遺言の作成にとどまらず、ご家族へいつどのように開示するかのご相談や、遺言執行のご相談もお受けしております。
相続するような財産はないと思われるような場合であっても、相続人の立場では相続財産の全体がわからずに複数の機関へ問い合わせをしなければならなかったり、相続人のうちの誰かが使い込んだのではと疑心暗鬼になってしまうことも考えられます。被相続人ご本人が相続財産全体を明らかにするというだけでも十分に相続人間のトラブルを防止する助けになります。
②家族信託
家族信託(民事信託)とは、営利を目的とせず、予め決めておいた目的に沿った管理を信頼できる人に託すものです。信託の目的や管理の方法は様々に設定することができますから、長期的な視点で、自分自身のみならず家族の生活保障や有能な後継者に家業を維持させることに有用であると考えられています。ただし、信託への課税は複雑であるため、信託契約は税理士と連携しながら手続を進める必要があります。
③生前贈与
相続税対策と密接な関わりがあります。現在は、婚姻期間が20年以上の配偶者に対して居住用不動産に関連した贈与を行う場合には特別の控除がありますし、お子様やお孫様が住宅用の家屋の新築や増改築等に充てる資金のために贈与する場合にも特別の控除が法定されています。また、遺産の中に事業や株式が含まれる場合には、より一層計画的な対策が必要といえるでしょう。
相続人となる予定の方がいない場合、疎遠である場合には、万が一の事態に備えて、細かな事項についても事前の準備が求められます。
④死後事務委任契約
遺品の整理やサービス付き高齢者住宅や入院先からの退去、各種費用の支払、葬儀催行といった細かな事務を委ねることができます。葬儀の方法やその規模について比較的柔軟に内容を設定することができますし、後から内容を変更することも可能です。
相続が発生した際に、弁護士に相談する必要があるでしょうか。
相続には、それまでの長年にわたる関係性が影響することが多く、直面しうる問題はご家族ごとに大きく異なります。現在は、新型コロナウイルスの影響によって相続手続に入ることが難しい場合には、相続放棄等の熟慮期間の延長申立ても検討する必要があるかもしれません。また、相続税の申告や納付についても平時とは異なる手続が用意されています。このため、ほんの少しでもご不安がある場合には是非ご相談をいただければと思います。何の不安も感じられない場合にも「転ばぬ先の杖」として、方針の確認といった程度でもお気軽にご相談ください。
相続でトラブルとなってしまうよくあるケース
相続人のうちに疎遠になってしまっている方がいらっしゃる場合、わだかまりを残してしまった方がいる場合、つまり、被相続人と相続人の生前のかかわりに偏りがあった場合には、慎重な対応が求められることが多いようです。このような場合には、最初から弁護士を代理人として遺産の全体像を共有し、分割方法を協議した方がスムーズな解決を得られるかもしれません。
また、資産が少ないからといってトラブルにならないわけではありません。最高裁判所が発表する「司法統計年報」でも、ほぼ毎年、1000万円以下の遺産分割事件が数割を占めています。
生前対策の方法は、遺言、家族信託、生前贈与、死後事務委任契約に限られません。ご興味のある方は是非一度ご相談いただければ幸いです。