遺産分割調停とは、遺産の分け方について、家庭裁判所の調停委員会が、相続人それぞれの主張を聞き取り、相続人全員による合意を目指す手続きです。
このコラムでは、遺産分割調停の流れやメリット・デメリットについて説明します。
1 遺産分割調停の流れ
・相続の始まりと遺産分割調停
相続は、被相続人が死亡することで開始します。このとき、分割方法の記載された遺言書が作成されている場合には、原則として遺言書に従って遺産が分割されることになります。他方、遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割協議が行われることになります(遺産分割の流れについては、コラム「遺産分割問題解決の流れ」をご覧ください。)。
遺産分割協議がまとまれば問題はありませんが、遺産を誰が取得するか、あるいは、遺産の評価額等に関して相続人間で争いが生じ、遺産分割協議がまとまらない、ということもあります。
そこで、次なる解決手段として用意されているのが、遺産分割調停という手続きです。遺産分割調停では、家庭裁判所の調停委員会が、相続人それぞれから主張を聞き取り、相続人間で遺産分割について合意が成立するようにサポートしてくれます。なお、調停委員会は、裁判官又は調停官1名と調停委員2名の計3名で構成されています。調停官は5年以上の経験を持つ弁護士の中から任命される非常勤の裁判所職員で、調停手続において裁判官と同等の権限を有しています。調停委員は、社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれており、弁護士や大学教授などの専門家のみならず、民生委員などとして地域社会に密着して幅広く活動してきた人など、社会の各分野から選ばれます。
遺産分割調停においても合意に至ることができない場合には、遺産分割審判に移行し、裁判所に遺産の分割方法を決めてもらうことになります。なお、遺産分割調停を行わず遺産分割審判を行うことも可能ですが、まずは遺産分割調停を行うのが通常です(最初から遺産分割審判を申し立てた場合であっても、家庭裁判所は職権で事件を調停に付すことができるとされています。)。
・遺産分割調停の手続き
他の相続人を相手方として、相手方の住所地(他の相続人が複数いる場合には、そのうち1つを選ぶことができます。)を管轄する家庭裁判所に申し立てます。その際には、被相続人・相続人の戸籍謄本・住民票、不動産登記簿謄本、固定資産評価証明書、預金通帳の写し等の書類が必要となります。
調停の期日においては、調停委員が調停室において当事者から個別に主張を聴き取り、争いのある点を整理します(裁判官又は調停官は同じ時刻に開催されている複数の調停事件を同時に担当しているため、常に立ち会っているわけではなく、ポイントとなるタイミングでのみ参加します。)。調停委員による主張の整理は、①相続人の範囲の確定、②遺産の範囲の確定、③遺産の評価、④特別受益・寄与分の確定、⑤遺産の分割方法の確定の順番でなされることが一般的です。
2 遺産分割調停を行うメリット・デメリット
・メリット
遺産分割協議では、当事者がお互い顔を合わせることにより言い争いになることもあります。しかし、遺産分割調停では中立な立場の調停委員会が間に入るため、感情的な言い争いによりさらに関係が悪化してしまうことを回避することができます。
また、遺産分割協議では、調停委員会は遺産分割に関する知識や経験を有しているため、事案の妥当な解決を図るための有益な議論に時間を使うことができるようになります。
・デメリット
デメリットとしては、手続に相応の時間を要することです。各期日は平日に行われ、1期日あたり1時間半から2時間を要します。そして、この期日は1か月ほどの間隔で設定されるため、手続が終了するまでに平均で1年程度かかります。
もっとも、遺産分割協議が成立しないまま放置していても解決にはつながりませんし、前記のように大きなメリットもあるので、遺産分割調停は有用な解決手段ということができます。
3 まずは弁護士にご相談ください
遺産分割調停を有利に進めるには、客観的な資料を基に法的に意味のある主張をしていく必要があります。しかし、資料を精査し主張を考えることや、遺産分割調停の手続を一から勉強することは大きな負担になりかねません。
弊所には遺産分割調停につき豊富な経験を有する弁護士が複数所属しており、皆様の紛争解決を力強くサポートさせていただきます。初回相談は無料となっておりますので、ご気軽にご相談ください。